スクラムチームが意識すべき投資対効果とは

スクラムチームが意識すべき投資対効果とは

スクラムチームが開発を進めていく中で、プロダクト責任者や他のメンバーからこんなことを言われたことは無いでしょうか?

  • どれくらい時間をかけるのか
  • いつになったらノウハウが醸成され活用されるのか

などなど、人によってもっと辛辣な言葉を投げかけてくるかもしれません。このように言われる所以と、それらに対してどのように取り組み改善を図ると良いのか、ポイントを挙げつつまとめていきたいと思います。

はじめに

この記事は「スクラムチームの取り組みすべてを無くす」という極論的な投稿ではありません。
少なくとも、スクラムチームで取り組んでいることから得られる効果は期待できるので、一切の取り組みを無くすといったことはありえないと考えています。

そのため、普段取り組んでいることをどのように改善することができるか、という視点でまとめた記事となります。

なぜ「いつまで時間をかけるのか」という指摘が生まれるのか

プロダクト責任者や他のチームからこのような話が上がるのは、おそらく以下の視点から指摘されているものと考えます。

  • 発生している費用に対するアウトプットの量
  • 使った時間に対するアウトプットの量

これらの2つに共通することは、「時間の使い方」にあると考えられます。
この背景には「チームでどのようなことがおこなわれ、その成果がどのような形で生まれているのか」がわからないという事実があると考えます。

スクラムチームの時間はどのように使われ、何が生まれるのかを明確にする

とはいえ、時間はやはり有限な資源。勤務時間が8時間の企業であれば8時間の中でどのようなことを生み出すのか。
そのために、限りある資源をどうやって効果的に使うのかを見極める必要があります。

例えばコードレビュー

たとえばエンジニア界隈ではよく行われる活動の一つとして、「プルリクエストによるコードレビュー」がありますが、この活動は主に以下を主眼において行われる活動だと考えます。

  • 作られたコードに複数名の目を通すことで品質を一定に保つ
  • 作られたモノがプロダクトの受け入れ基準を満たすものか確認する
  • チームのナレッジを属人化させない

この活動に言えることは「時間を投資しチーム全体のナレッジの量や質がよくなる(=再現性が高くなる)」という効果が生まれるということです。活動を続ければ続けるほど、この効果はより大きくチームにとって良い資産になります。

例えばペアプロ

続いてペアプロを例に挙げます。「ペアプロは2名のエンジニアで役割を分けて(ナビゲーターとドライバー)実装を進める」手法ですが、この活動は主に以下を主眼において行われる活動だと考えます。

  • 一定時間ごとに役割を入れ替えながら行うため、複数の人が1つの機能開発に携わり、より良い設計や実装が生み出しやすくなる
  • チームとしてペアプロに取り組み頻繁にペアを変えることで、全員と全体の理解を共有可能になる
  • 教育的側面からペアプロを行うことで開発の基本的な知識からプロジェクト内固有の知識まで余計な時間を使うことなく行える

ペアプロでは「時間を投資することで作ることの楽しさを体験しながら、属人化を最小に抑え人・またはチームが成長する」という効果が得られます。
こちらも同様に、この活動を継続するほど効果はより大きくなり、素晴らしい資産になります。

視点をプロダクト責任者に変えてみると

スクラムチームとしては有益かつ効果的な取り組みに感じますが、視点を変えてプロダクト責任者の視点から見ると、投資を続けた一定のタイミングから「投資分の効果は得られているのか?」という疑問が生まれてきます。

この疑問を紐解くと「関わった人数と時間、それによって作られたモノの総量」の期待値に乖離が生じていることがわかります。

プロダクト責任者は「製品に優位性をもたせ維持し、ビジネスの収益を上げること※1」を目標としています。

※1 プロダクト責任者以外の方でもこういった視点を持たれている方がいらっしゃると思います。

そうなると、チームは良かれと思って費やしてきた時間が一気に無駄に費やしてしまったように感じられてしまいます。
この乖離をなくし、双方がよりハッピー(ここでは楽しく、ワクワクとした状況とします)になるにはどうすればよいのでしょうか。

バランスを見極めることが重要

バランスと言っても綱渡りを続けるようなバランスではなく、「投資を継続する時期とやめる時期をどのように繰り返すのか」が重要になります。

もちろん、立ち上がってすぐのチームなどの成長途中のチームは、投資を続けて成長しプロダクト開発に貢献することが重要です。しかし、成長したチームは「投資の継続と投資の停止」をどのように繰り返し成長するのかを見極める必要があります。「停止したらそこで終わり」ではなく、「投資をいつまで止めて次の投資をいつ再開するか(=次の成長機会を見つける)」を見つけることです。

今回の例では投資量は時間、投資期間は経過日数を例とし、1スプリントを2週間の期間でチームが活動を行っていると仮定します。

  • スプリントの前半に投資期間(学習期間)を設け、専門分野の学習やスプリントで取り組む事柄の学習期間として活用
  • 学習を終えたタイミングから学習内容を発揮する期間(発揮期間)に突入
  • 使った時間分のアウトプットが生まれるため、一定のタイミングで使った時間分のアウトプットが発生(投資時間回収時期)
  • 以降はチームとしてナレッジが蓄積されているため、アウトプット量(出力総量)が大幅に増え、チームとしての成長に期待できる
  • スプリント終了後、レトロスペクティブによりチームの活動の中で改善すべきことを挙げ、次スプリントで改善を含めた活動を開始

このように、スプリントを積み上げて(=経験の蓄積)いくと、チームの投資期間は徐々に少なくなり、生み出す総量が右肩上がりに増えていきます。

このように、投資を行う期間と投資を停止する期間(=学習結果を発揮する期間)の反復を行うことで、プロダクト及びチームを大きく成長させる可能性を秘めていることがわかります。

それ故、チーム自身も使った時間とそれに見合ったアウトプットを的確に行う必要があります。

最後に

スクラムチームの活動や取り組みは消して悪いことではなく、もっと積極的に導入推進すると良いと思いますが、

  • 導入する意図や意義
  • 導入したことでどのような効果を得られるのか

といった視点を重視し、ただダラダラと取り組むのではなくメリハリと時間意識をつけ、チーム全体のナレッジが効果的になるような取り組みを考え、取り組んでいくことが大切です。

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